太陽がサンサンと照り映える、初夏の昼下がりどきのことでありました。
ミラノでは、こんな老婦人に遭遇した。
けっこう混んでいるバスに腰掛けていると、70歳をとっくに越えたと思われるシニョーラがヨロヨロと乗り込んできた。
大きな荷物を膝に抱えていた私だが、すぐに席を立とうとした。
だが、隣りに座っていた初老の婦人が私を制す。
そしてサッと立ち上がりました。
「私はすぐ降りるから」
「でも・・・(と腰を浮かす私)」
「いいの、いいの。あなたは荷物があるんだから、そのまま座っていなさい」
よろけるように空いた席に近づく老婦人の腕を取り、腰を下ろすのを手伝う。
「ありがとう」。
ささやくように礼をつげる老婦人。
そのあと「ディスペラータディスペラータ」と何回も眩き、涙を流さんばかりなのだ。
つづく・・・