ちょうど母ぐらいの年齢のシニョーラ。
なんともお気の毒でならず、つい、会話を続けてしまった。
「そんなあ・・・。何か食べなきゃダメですよ。絶対に。睡眠のほうはいかがですか?」
「寝ることは寝てるわよ。でも、薬でね。睡眠薬がないと寝つかれないから」
「奥さん、奥さんなんかまだまだお若いんだから元気を出してください。私の両親なんか、もう70代の半ばに入るところですよ。奥さんはもっとお若いでしょうに」
「うん、そうねえ、70をすぎたばっかりだけど・・・」
ここで老婦人の顔に、ほんの僅かながら血の気が戻ってきたようだった。
「あら、奥さん。おしゃべりをしているうちに気分がよくなられた感じですよ。お顔にも活気が出てきたし」
「そーお?そうかしらね~え。ひょっとして、口紅でもつければもっといいかしら?」
想像だにしていなかった反応に内心驚きながら、「そうですね」と答えました。